ダートの道悪(重・不良)に強い血統|父系・種牡馬・母父・クロスを実測

ダートの道悪(重・不良)に強い血統|父系・種牡馬・母父・クロスを実測

雨で水を含んだダートは、乾いた砂とは別の適性が問われます。中央競馬のダートを良馬場と重・不良に分けて、血統ごとに複勝率がどれだけ動くかを実測しました。

対象
中央・ダート(平地)
集計期間
2016〜2026年
良馬場
157,267頭
重・不良
42,904頭

1番人気の勝率が上がる馬場

水を含んだダートでは、力のある馬がそのまま押し切る場面が増えます。1番人気の勝率は良馬場で32.7%。これが重・不良になると33.6%まで上がります。ただし複勝率は64.8%から63.5%へ下がっており、勝ち切るか着外かに振れやすい馬場でもあります。

勝ち負けの中身が入れ替わるぶん、血統で拾えるのは「同じような評価の馬が並んだとき、どちらを上に取るか」の部分です。血統どうしを比べるときは、人気構成をそろえ直した人気補正後の列を軸にしてください。

この記事の「道悪」は重・不良を指します(稍重は含みません)。数字はすべて複勝率(3着以内率)で、「差」は同じ血統の中での道悪−良馬場。「人気補正後」は、出走した馬の人気構成をそろえたうえで同じ差を取り直した値です(人気に恵まれただけの見かけの上積みを除いています)。各行は良・道悪とも100頭以上(種牡馬・母父の表は200頭以上、クロスの表は50頭以上)のものだけを載せています。

父系統でみる道悪

まず父系統から。ダートの主流とされる血が、そのまま道悪でも強いのかを見ます。

血統良馬場道悪人気補正後
リファール系良1,373頭 / 道悪392頭17.6%22.2%+4.6+4.9
ヌレイエフ系※良584頭 / 道悪166頭16.1%20.5%+4.4+3.7
ブラッシンググルーム系良859頭 / 道悪209頭14.3%18.7%+4.3+1.4
ファピアノ系良5,527頭 / 道悪1,525頭22.1%26.3%+4.1+3.4
ジャングルポケット系良1,040頭 / 道悪310頭12.7%16.8%+4.1+2.4
ダンジグ系良2,990頭 / 道悪736頭19.7%23.6%+3.9+3.0
タイキシャトル系良2,381頭 / 道悪696頭15.2%18.7%+3.4+2.0
エーピーインディ系良11,677頭 / 道悪3,078頭23.9%26.4%+2.4+1.7
ブランドフォード系※良646頭 / 道悪194頭14.4%16.0%+1.6+1.3
アグネスタキオン系※良1,187頭 / 道悪314頭16.1%17.5%+1.4+2.8
サドラーズウェルズ系良3,719頭 / 道悪947頭18.8%20.1%+1.2+0.9
デインヒル系良1,861頭 / 道悪480頭18.6%19.8%+1.1+2.1
グラスワンダー系良2,781頭 / 道悪774頭20.2%21.3%+1.1+0.8
クロフネ系良2,546頭 / 道悪749頭23.4%24.4%+1.0+0.3
フォーティナイナー系良8,308頭 / 道悪2,442頭20.0%21.0%+1.0+0.5
ディープインパクト系良12,601頭 / 道悪3,359頭20.8%21.6%+0.9+0.2
ヴァイスリージェント系良1,959頭 / 道悪476頭20.7%21.4%+0.8-0.5
シンボリクリスエス系良4,254頭 / 道悪1,155頭20.5%21.2%+0.7+0.3
ミスタープロスペクター系※良1,377頭 / 道悪427頭17.3%17.8%+0.5+1.8
マキアヴェリアン系※良1,494頭 / 道悪357頭24.4%24.6%+0.3+0.2
サクラバクシンオー系※良1,376頭 / 道悪405頭15.4%15.6%+0.1+0.4
ブライアンズタイム系※良2,647頭 / 道悪768頭16.0%16.1%+0.1-0.1
ハーツクライ系※良4,442頭 / 道悪1,157頭21.9%21.9%0.0-0.1
ゴーンウエスト系※良1,639頭 / 道悪393頭21.3%21.1%-0.2-0.3
ヘイロー系※良4,380頭 / 道悪1,243頭22.4%22.1%-0.2-0.7
ゴールドアリュール系良7,075頭 / 道悪1,950頭22.0%21.6%-0.3+0.1
キングカメハメハ系※良12,813頭 / 道悪3,473頭22.5%22.0%-0.5-0.3
クラフティプロスペクター系※良719頭 / 道悪220頭21.4%20.9%-0.5-1.2
ネオユニヴァース系※良3,041頭 / 道悪900頭18.7%18.2%-0.5-0.9
サンデーサイレンス系良9,449頭 / 道悪2,651頭17.8%17.2%-0.6-0.3
グリーンデザート系※良755頭 / 道悪223頭17.7%17.0%-0.7-1.0
ノーザンダンサー系良1,489頭 / 道悪428頭20.3%19.4%-1.0-1.1
ストームキャット系良13,945頭 / 道悪3,565頭25.5%24.1%-1.3-1.0
マンハッタンカフェ系良1,546頭 / 道悪403頭21.4%19.9%-1.6-1.8
ロードカナロア系良3,328頭 / 道悪976頭24.4%22.5%-1.9-2.4
スペシャルウィーク系良645頭 / 道悪180頭17.5%15.6%-2.0-1.8
ロベルト系※良674頭 / 道悪132頭34.6%32.6%-2.0-2.0
キングマンボ系良4,311頭 / 道悪1,271頭17.3%15.0%-2.3-1.2
ダイワメジャー系良3,664頭 / 道悪999頭20.8%18.5%-2.3-3.4
ステイゴールド系良4,038頭 / 道悪1,159頭20.1%17.5%-2.6-2.1
ニアークティック系※良1,071頭 / 道悪309頭22.1%19.4%-2.7-2.6
シーキングザゴールド系良2,097頭 / 道悪587頭18.5%14.0%-4.5-3.7
ヒムヤー系※良959頭 / 道悪212頭27.8%23.1%-4.7-3.2

系統は血統表の父系分類で、父をさかのぼって最初に当たる系統に割り当てています(支流が立っている血はその支流名。たとえばディープインパクト産駒はディープインパクト系、キズナ産駒もその下に入るのでディープインパクト系)。日本で系統として定着しているハーツクライ系・ステイゴールド系・ダイワメジャー系・ロードカナロア系は独立させています(たとえばオルフェーヴル産駒とゴールドシップ産駒はステイゴールド系、サートゥルナーリア産駒はロードカナロア系)。※印は前期(2016〜2020年)と後期(2021〜2026年)で差の向きが揃わなかった系統で、本文では触れていません。該当が少ない24系統(道悪514頭ぶん)は表から除いています。

最も伸びたのはリファール系でした。続くのはブラッシンググルーム系・ファピアノ系・ジャングルポケット系・ダンジグ系で、ダートの主流とされるエーピーインディ系もプラス側に残ります。反対に下げ幅がいちばん大きいのはシーキングザゴールド系。ステイゴールド系・ダイワメジャー系・キングマンボ系もマイナス側に回り、出走数の多いサンデーサイレンス系はほぼ横ばいでした。上にも下にも日本の芝で走る血が混じっており、系統名だけで振り分けられる馬場ではありません。

種牡馬でみる道悪

父の単位まで降ろすと、差はさらに大きくなります。以下は前期・後期のどちらでも同じ向きに出た種牡馬だけを載せました。

道悪で複勝率が上がる種牡馬
血統良馬場道悪人気補正後
カジノドライヴ良897頭 / 道悪311頭20.8%28.9%+8.1+7.1
ダンカーク良1,056頭 / 道悪305頭16.7%23.6%+6.9+5.8
スマートファルコン良1,119頭 / 道悪350頭17.6%24.3%+6.7+6.6
ディープインパクト良1,219頭 / 道悪356頭20.6%26.1%+5.5+4.0
プリサイスエンド良1,103頭 / 道悪317頭18.2%22.7%+4.5+3.4
ハービンジャー良1,021頭 / 道悪285頭16.1%19.3%+3.2+3.0
エンパイアメーカー良1,763頭 / 道悪560頭22.2%25.4%+3.2+2.2
パイロ良2,844頭 / 道悪792頭24.3%27.4%+3.1+1.1
道悪で複勝率が下がる種牡馬
血統良馬場道悪人気補正後
エスポワールシチー良1,110頭 / 道悪318頭25.0%20.8%-4.2-2.9
ダイワメジャー良2,456頭 / 道悪666頭20.8%17.0%-3.8-5.1
ヘニーヒューズ良3,732頭 / 道悪1,097頭28.9%25.2%-3.7-2.7
フリオーソ良969頭 / 道悪307頭18.5%15.6%-2.8-0.9
ヨハネスブルグ良842頭 / 道悪233頭23.8%21.0%-2.7-1.9
タートルボウル良748頭 / 道悪247頭22.6%20.2%-2.4-2.4
ディープブリランテ良969頭 / 道悪285頭16.8%14.7%-2.1-1.8
ロードカナロア良2,929頭 / 道悪893頭25.7%23.6%-2.0-2.6

最も上げたのはカジノドライヴ、次いでダンカーク、スマートファルコン。スマートファルコンは自身が砂の高速決着を得意にした馬で、産駒も同じ方向を向いています。驚かされるのはディープインパクトが同じ側に入ってきたことで、乾いたダートでは目立たない産駒が、時計の速い馬場になると一気に浮上します。反対にヘニーヒューズは、ダートの王道と見られながら道悪では数字を落としました。「砂を掻くパワー」よりも「速い時計への対応」が問われる馬場だと考えると筋は通ります。

母父(ブルードメアサイアー)でみる道悪

父が同じでも母方が違えば道悪の出方は変わります。母の父で分けた表です。

道悪で複勝率が上がる母父
血統良馬場道悪人気補正後
キングヘイロー良1,148頭 / 道悪320頭21.7%25.6%+3.9+3.8
アグネスデジタル良1,330頭 / 道悪414頭19.4%23.2%+3.8+2.6
キングカメハメハ良4,920頭 / 道悪1,337頭23.2%26.1%+2.9+1.5
エンパイアメーカー良1,257頭 / 道悪315頭22.8%25.7%+2.9+3.5
道悪で複勝率が下がる母父
血統良馬場道悪人気補正後
ホワイトマズル良829頭 / 道悪231頭16.9%12.1%-4.8-2.9
ジャングルポケット良1,315頭 / 道悪329頭19.4%15.5%-3.9-4.4
ハーツクライ良1,993頭 / 道悪493頭19.9%17.4%-2.4+0.1
ディープインパクト良3,266頭 / 道悪814頭21.4%19.4%-2.0-2.3
サクラバクシンオー良2,115頭 / 道悪661頭19.7%17.7%-2.0-3.2

母父で伸びたのはキングヘイローとアグネスデジタル。アメリカのダート血統であるエンパイアメーカーも上側に入ります。一方で下側には、ジャングルポケット、ハーツクライ、ディープインパクト、サクラバクシンオーと、日本の芝で結果を出した血が並びます。目を引くのはディープインパクトで、種牡馬の表では道悪で大きく上げていたのに、母父に回ると逆に下げます。同じ血でも父方に入るか母方に入るかで出方が変わる、ということです。

クロス(インブリード)でみる道悪

クロスとは、同じ祖先が父方・母方の両方に入る配合のこと。「ノーザンテースト 3×4」なら父方の3代前と母方の4代前の両方にノーザンテーストがいる、という意味です。ここでは5代前までを対象に、祖先と世代の組み合わせごとに集計しました。

道悪で複勝率が上がるクロス
血統良馬場道悪人気補正後
シアトルスルー 4×4良301頭 / 道悪88頭22.6%31.8%+9.2+8.4
ミスタープロスペクター 5×3良821頭 / 道悪206頭20.2%25.7%+5.5+4.2
ボールドルーラー 5×5良853頭 / 道悪251頭17.9%21.9%+4.0+2.7
ヘイロー 3×4良1,645頭 / 道悪532頭19.0%22.9%+4.0+3.1
ロベルト 4×4良446頭 / 道悪107頭17.3%20.6%+3.3+3.2
ロベルト 5×4良721頭 / 道悪156頭23.7%26.9%+3.2+2.9
ヘイルトゥリーズン 4×4良1,706頭 / 道悪490頭17.8%19.8%+2.0+1.6
道悪で複勝率が下がるクロス
血統良馬場道悪人気補正後
ストームバード 4×5良759頭 / 道悪195頭26.2%17.4%-8.8-7.1
ミスタープロスペクター 3×5良1,211頭 / 道悪331頭23.8%18.4%-5.4-3.9
ヌレイエフ 4×5良619頭 / 道悪171頭23.4%18.1%-5.3-3.9
ニジンスキー 5×5良1,816頭 / 道悪495頭19.2%17.6%-1.6-1.8

はっきり出たのは、同じ祖先でも入り方で結果が逆になることです。ミスタープロスペクターは、母方に近い5×3ならプラス、父方に近い3×5では逆に大きく沈みました。祖先の名前だけを見て判断すると逆を引きます。ただしクロスは父・母父と重なって入るため、この表だけを独立した根拠にはしないでください。

まとめ:馬券にどう使うか

  • ダートの道悪は1番人気の勝率が上がる一方で複勝率は下がる馬場。軸は勝ち切るか着外かに振れやすく、相手を厚くしたい場面です。
  • 血統どうしの比較は人気補正後の列で。人気に恵まれただけの上積みが混ざります。
  • 同じ血でも父方に入るか母方に入るかで逆に出ます。父では上げ、母父では下げるディープインパクトが典型例。
  • カジノドライヴ・ダンカーク・スマートファルコンの産駒が代表格。速い時計に対応できる血を上に取ります。
  • 芝の大種牡馬の産駒がダートで穴をあけるのは、乾いた砂より道悪で起こりやすい。
  • ヘニーヒューズのようなダート王道血統は、道悪では優位が薄れます。乾いた砂のときほど強調して買わなくてよい。
  • クロスは祖先名と世代の組み合わせまで見て初めて使える。差もいずれも数ポイントで、血統は最後のひと押しにとどめてください。

本記事の数字は中央・ダート(平地)の実測値です(2016〜2026年、良馬場157,267頭・重・不良42,904頭)。AI予想とは独立した過去傾向の分析で、的中を保証するものではありません。