芝の道悪(重・不良)に強い血統|父系・種牡馬・母父・クロスを実測

芝の道悪(重・不良)に強い血統|父系・種牡馬・母父・クロスを実測

雨が降って芝が渋ったとき、どの血統が浮上して、どの血統が沈むのか。中央競馬の芝を良馬場と重・不良に分けて、血統ごとに複勝率がどれだけ動くかを実測しました。

対象
中央・芝(平地)
集計期間
2016〜2026年
良馬場
187,304頭
重・不良
17,077頭

1番人気が取りこぼす馬場

芝が渋ったときに最も大きく変わるのは、上位人気の信頼度です。1番人気の複勝率は、良馬場なら65.2%。これが重・不良になると57.2%まで落ちます。

実力上位と評価された馬が取りこぼすなら、代わりに誰かが馬券圏に入っています。その入れ替わりの中身を、父系統・種牡馬・母父・クロスの順に見ていきます。

この記事の「道悪」は重・不良を指します(稍重は含みません)。数字はすべて複勝率(3着以内率)で、「差」は同じ血統の中での道悪−良馬場。「人気補正後」は、出走した馬の人気構成をそろえたうえで同じ差を取り直した値です(人気に恵まれただけの見かけの上積みを除いています)。各行は良・道悪とも100頭以上(クロスの表は50頭以上)のものだけを載せています。

父系統でみる道悪

まず父系統から。日本の芝は主流血統の寡占が進んでいますが、道悪ではその序列が素直に維持されません。

血統良馬場道悪人気補正後
ブライアンズタイム系※良1,436頭 / 道悪106頭10.6%17.9%+7.3+7.4
クロフネ系※良1,246頭 / 道悪131頭19.3%24.4%+5.2+3.9
キングマンボ系良5,214頭 / 道悪508頭15.0%19.5%+4.5+4.0
シーキングザゴールド系良1,948頭 / 道悪172頭20.1%23.8%+3.8+2.6
ステイゴールド系良12,678頭 / 道悪1,147頭21.9%25.3%+3.4+2.0
フォーティナイナー系良5,378頭 / 道悪529頭17.4%20.0%+2.7+0.4
ストームキャット系良6,403頭 / 道悪543頭19.6%22.1%+2.5+2.4
ゴーンウエスト系良1,195頭 / 道悪106頭19.3%21.7%+2.4+1.5
グリーンデザート系※良1,424頭 / 道悪132頭22.8%25.0%+2.2+5.4
ダイワメジャー系※良6,297頭 / 道悪603頭24.0%26.2%+2.2+1.6
タイキシャトル系※良2,023頭 / 道悪197頭15.1%17.3%+2.1+0.6
グラスワンダー系良6,567頭 / 道悪606頭23.9%25.4%+1.5+1.3
エーピーインディ系良2,043頭 / 道悪192頭13.2%14.1%+0.9-0.4
デインヒル系※良6,679頭 / 道悪635頭23.6%24.3%+0.7+0.7
キングカメハメハ系良17,391頭 / 道悪1,614頭24.8%25.4%+0.6+0.8
ノーザンダンサー系※良2,341頭 / 道悪186頭17.8%18.3%+0.5-1.2
サンデーサイレンス系良13,825頭 / 道悪1,269頭19.1%19.4%+0.3+0.5
リファール系※良1,291頭 / 道悪110頭13.8%13.6%-0.2+0.1
サドラーズウェルズ系※良5,565頭 / 道悪496頭19.7%19.4%-0.4-0.5
サクラバクシンオー系※良2,242頭 / 道悪205頭19.0%18.0%-0.9-1.2
ファピアノ系※良2,381頭 / 道悪204頭17.1%16.2%-1.0-2.2
ブラッシンググルーム系良1,444頭 / 道悪123頭19.9%18.7%-1.2-0.6
ディープインパクト系良31,431頭 / 道悪2,788頭26.6%25.0%-1.7-0.6
ジャングルポケット系※良1,992頭 / 道悪213頭16.6%14.6%-2.1-1.8
ネオユニヴァース系良4,460頭 / 道悪411頭20.2%17.8%-2.4-2.2
ダンジグ系※良2,082頭 / 道悪179頭19.8%17.3%-2.5-4.0
ブランドフォード系※良1,502頭 / 道悪155頭22.4%19.4%-3.0-1.8
ハーツクライ系良10,135頭 / 道悪904頭25.3%22.0%-3.3-2.2
ヘイロー系良3,429頭 / 道悪316頭18.9%15.5%-3.4-4.1
スペシャルウィーク系良1,251頭 / 道悪123頭18.2%14.6%-3.6-3.4
マンハッタンカフェ系良2,667頭 / 道悪283頭22.3%18.7%-3.6-2.7
ロードカナロア系良7,146頭 / 道悪631頭29.0%24.4%-4.6-1.8
シンボリクリスエス系良6,517頭 / 道悪618頭25.3%20.1%-5.3-4.1

系統は血統表の父系分類で、父をさかのぼって最初に当たる系統に割り当てています(支流が立っている血はその支流名。たとえばディープインパクト産駒はディープインパクト系、キズナ産駒もその下に入るのでディープインパクト系)。日本で系統として定着しているハーツクライ系・ステイゴールド系・ダイワメジャー系・ロードカナロア系は独立させています(たとえばオルフェーヴル産駒とゴールドシップ産駒はステイゴールド系、サートゥルナーリア産駒はロードカナロア系)。※印は前期(2016〜2020年)と後期(2021〜2026年)で差の向きが揃わなかった系統で、本文では触れていません。該当が少ない35系統(道悪642頭ぶん)は表から除いています。

いちばん目を引くのは、同じ血の中で向きが割れることです。サンデーサイレンスの支流を分けると、ステイゴールド系が上位に入る一方で、ハーツクライ系はマイナス側に沈みます。キングカメハメハ系も同じでした。ロードカナロア系を切り出すと母体はプラス側に残り、切り出したロードカナロア系のほうが大きく下げています。上位に並ぶのはキングマンボ系、シーキングザゴールド系、フォーティナイナー系。下げ幅が最も大きいのはシンボリクリスエス系で、ディープインパクト系もマイナス側です。

種牡馬でみる道悪

父の単位まで降ろすと、差はさらに大きくなります。以下は前期・後期のどちらでも同じ向きに出た種牡馬だけを載せました。

道悪で複勝率が上がる種牡馬
血統良馬場道悪人気補正後
オルフェーヴル良3,313頭 / 道悪351頭22.5%28.8%+6.2+4.4
エイシンフラッシュ良2,141頭 / 道悪218頭14.5%19.7%+5.2+5.2
スクリーンヒーロー良2,355頭 / 道悪252頭24.0%28.2%+4.2+2.9
アドマイヤムーン良2,155頭 / 道悪197頭19.3%23.4%+4.1-0.2
ゴールドシップ良2,954頭 / 道悪284頭21.4%25.0%+3.6+2.1
マツリダゴッホ良1,897頭 / 道悪184頭15.0%18.5%+3.5+0.6
道悪で複勝率が下がる種牡馬
血統良馬場道悪人気補正後
エピファネイア良4,500頭 / 道悪429頭29.0%21.7%-7.3-5.7
キンシャサノキセキ良2,459頭 / 道悪245頭19.9%15.1%-4.8-5.1
ロードカナロア良6,071頭 / 道悪571頭29.3%24.5%-4.8-1.8
ヴィクトワールピサ良2,707頭 / 道悪256頭23.2%19.1%-4.1-3.7
ディープインパクト良9,771頭 / 道悪913頭33.8%30.3%-3.5-0.7
ハーツクライ良6,632頭 / 道悪590頭26.6%23.7%-2.9-2.0
ジャスタウェイ良2,150頭 / 道悪220頭22.9%20.0%-2.9-2.3
ワールドエース良824頭 / 道悪119頭16.6%14.3%-2.3-1.3

下げ幅が最も大きかったのはエピファネイアでした。父系統でも最下位だったシンボリクリスエス系の産駒で、系統の傾向がそのまま出た形です。ロベルト系のパワー型という一般的な評価とは逆の結果で、前期・後期のどちらでも同じ向きに出ています。ディープインパクトとハーツクライも下げており、いずれも父系統で見た向きと一致します。良馬場で強い王道血統ほど、道悪では割り引きが要るということです。上げた側の筆頭はオルフェーヴル。ゴールドシップも同じ上げる側に並び、父系統でステイゴールド系が上位に来ているのと揃います。ただしステイゴールド自身の産駒は逆で、記事末の参考集計では下げる側です。系統でまとめて信用せず、世代ごとに確かめたいところです。

母父(ブルードメアサイアー)でみる道悪

父が同じでも母方が違えば道悪の出方は変わります。母の父で分けた表です。

道悪で複勝率が上がる母父
血統良馬場道悪人気補正後
ロージズインメイ良1,113頭 / 道悪107頭22.5%31.8%+9.3+7.4
アグネスデジタル良1,460頭 / 道悪125頭19.9%27.2%+7.3+6.2
キングヘイロー良1,214頭 / 道悪110頭23.3%30.0%+6.7+4.6
マイネルラヴ良1,132頭 / 道悪108頭20.2%26.9%+6.6+5.6
マンハッタンカフェ良2,736頭 / 道悪251頭21.1%26.7%+5.6+5.6
アグネスタキオン良4,885頭 / 道悪500頭20.8%25.4%+4.6+3.9
タイキシャトル良2,601頭 / 道悪220頭18.4%21.8%+3.4+4.2
ネオユニヴァース良2,093頭 / 道悪201頭18.6%21.4%+2.8+1.3
道悪で複勝率が下がる母父
血統良馬場道悪人気補正後
ゼンノロブロイ良2,113頭 / 道悪189頭21.3%15.9%-5.4-4.0
ディープインパクト良8,016頭 / 道悪709頭27.8%23.4%-4.4-2.2
スペシャルウィーク良3,262頭 / 道悪276頭21.4%17.0%-4.3-3.4
シンボリクリスエス良3,749頭 / 道悪350頭24.3%20.9%-3.5-3.5
ダイワメジャー良2,333頭 / 道悪219頭22.9%19.6%-3.3-4.4
ジャングルポケット良2,228頭 / 道悪212頭20.7%17.9%-2.8-1.1

母父の表は、父の表とは顔ぶれがはっきり入れ替わります。ロージズインメイやアグネスデジタルのように、自身がダートや渋った馬場で結果を出した種牡馬が母方に入ると数字が伸びました。一方で母父ディープインパクトは、父ディープインパクトと同じ向きに下げています。この血は父でも母父でも良馬場向き、と読んでよさそうです。

クロス(インブリード)でみる道悪

クロスとは、同じ祖先が父方・母方の両方に入る配合のこと。「ノーザンテースト 3×4」なら父方の3代前と母方の4代前の両方にノーザンテーストがいる、という意味です。ここでは5代前までを対象に、祖先と世代の組み合わせごとに集計しました。

道悪で複勝率が上がるクロス
血統良馬場道悪人気補正後
ニジンスキー 5×4良1,079頭 / 道悪101頭18.3%23.8%+5.5+3.2
ノーザンテースト 4×5良1,046頭 / 道悪88頭23.3%28.4%+5.1+2.3
ミスタープロスペクター 4×3良1,451頭 / 道悪145頭17.4%22.1%+4.7+3.0
ノーザンテースト 4×4良1,964頭 / 道悪178頭19.7%24.2%+4.5+3.0
ダンジグ 4×4良893頭 / 道悪100頭23.7%28.0%+4.3+4.0
ミスタープロスペクター 5×4良4,029頭 / 道悪323頭19.4%22.6%+3.2+3.1
リファール 5×5良4,645頭 / 道悪372頭24.5%27.4%+2.9+4.5
レイズアネイティヴ 5×4良2,099頭 / 道悪206頭16.4%18.4%+2.0+1.1
サンデーサイレンス 3×3良6,682頭 / 道悪626頭18.0%20.0%+1.9+0.4
ヘイロー 4×4良12,146頭 / 道悪1,165頭19.0%20.8%+1.8+1.0
道悪で複勝率が下がるクロス
血統良馬場道悪人気補正後
リファール 4×5良1,332頭 / 道悪136頭27.3%18.4%-8.9-7.5
ヘイロー 3×5良2,039頭 / 道悪183頭25.5%19.1%-6.4-6.5
ミスタープロスペクター 5×5良5,103頭 / 道悪356頭19.6%15.4%-4.1-2.7
ヌレイエフ 5×4良1,789頭 / 道悪170頭24.0%20.6%-3.4-1.9
サンデーサイレンス 3×4良7,764頭 / 道悪581頭23.6%20.8%-2.8-3.0
ヘイロー 5×4良10,167頭 / 道悪867頭26.0%24.3%-1.7-1.4
サンデーサイレンス 4×3良7,995頭 / 道悪691頭27.0%25.3%-1.7-1.0

目を引くのは、同じ祖先でも世代の組み合わせで結果が反転することです。リファールのクロスは5×5ならプラスなのに、父方に1代近づいた4×5では大きく沈みます。血が濃いかどうかより、どこに入っているかを見るべきということ。ただしクロスは父・母父と重なって入るため、この表だけを独立した根拠にはしないでください。

参考:稍重まで含めた場合

芝の重・不良は出走数が限られるため、稍重・重・不良をまとめた「良馬場以外」でも同じ集計をしました。母数が3倍以上に増えるぶん、少ない頭数のブレに強い見方になります(この表は良・良馬場以外とも200頭以上)。

良馬場以外で複勝率が上がる種牡馬
血統良馬場良馬場以外人気補正後
ドリームジャーニー良905頭 / 良馬場以外241頭20.8%32.0%+11.2+7.7
メイショウボーラー良917頭 / 良馬場以外277頭10.6%17.3%+6.8+5.7
エイシンフラッシュ良2,141頭 / 良馬場以外651頭14.5%19.8%+5.3+6.0
ゴールドシップ良2,954頭 / 良馬場以外946頭21.4%24.7%+3.3+1.3
ダノンバラード良1,042頭 / 良馬場以外272頭19.3%22.4%+3.1+2.0
バゴ良1,173頭 / 良馬場以外298頭19.4%22.5%+3.0+1.5
オルフェーヴル良3,313頭 / 良馬場以外1,010頭22.5%25.3%+2.8+1.8
マツリダゴッホ良1,897頭 / 良馬場以外594頭15.0%17.7%+2.7+1.4
良馬場以外で複勝率が下がる種牡馬
血統良馬場良馬場以外人気補正後
トーセンホマレボシ良695頭 / 良馬場以外209頭16.8%10.5%-6.3-7.2
ヴィクトワールピサ良2,707頭 / 良馬場以外782頭23.2%18.4%-4.8-4.3
ステイゴールド良3,358頭 / 良馬場以外851頭25.9%22.0%-3.9-3.7
リアルインパクト良815頭 / 良馬場以外251頭21.1%17.5%-3.6-3.1
ディープブリランテ良1,900頭 / 良馬場以外537頭20.7%17.5%-3.2-2.9
ローエングリン良978頭 / 良馬場以外289頭18.4%15.6%-2.8-2.3
ディープインパクト良9,771頭 / 良馬場以外2,653頭33.8%31.1%-2.7-1.3
ベーカバド良838頭 / 良馬場以外248頭19.6%17.3%-2.2-2.0

重・不良に絞ったときと顔ぶれはおおむね重なります。ドリームジャーニーやバゴのように、重・不良だけでは頭数が足りず本編の表に出せなかった種牡馬も、ここでは上位に浮かび上がります。そのドリームジャーニーと、下げる側のステイゴールドが同じ一族という点は系統だけで決め打ちできないことを示しています。

まとめ:馬券にどう使うか

  • 芝の道悪は上位人気が取りこぼす場。軸を疑うきっかけとして使うのが第一の用途です。
  • キングマンボ系・シーキングザゴールド系・ステイゴールド系は見直し、シンボリクリスエス系・ロードカナロア系・ハーツクライ系・ディープインパクト系は割り引き
  • サンデー系・キンカメ系とひとくくりにしない。同じ血でも支流で向きが逆に出ます。
  • 種牡馬単位ではエピファネイアの下げ幅が最大。人気を背負っているときほど危険信号です。
  • 父が主流血統でも、母父の欄に道悪で走った種牡馬が入る馬は評価を戻してよい。
  • クロスは祖先名と世代の組み合わせまで見て初めて使える。同じ血でも入り方で逆に出ます。
  • ただし差はいずれも数ポイント。血統は最後のひと押しで、能力・調子・枠順を覆す材料ではありません。

本記事の数字は中央・芝(平地)の実測値です(2016〜2026年、良馬場187,304頭・重・不良17,077頭)。AI予想とは独立した過去傾向の分析で、的中を保証するものではありません。