1枠は本当に不利か|枠順の有利不利を全レースで実測

「1枠に入ったから割引」は果たしてそうでしょうか。
数えてみると、1枠の複勝率は21.0%。たしかに8つの枠でいちばん低い数字でした。ただしいちばん高い6枠でも22.2%で、その差は1%あまりです。枠だけで馬を切るには、あまりに小さい差といえます。
もっとも、これは全部のレースを混ぜた数字です。芝とダートに分けると景色が変わります。この記事では、芝ダート・距離・頭数・逃げ馬・コースごとの脚質まで、順に確かめます。
※過去のレース結果等のデータを独自の条件で集計・分析し、記事として編集しています。
出典:TARGET frontier JV
- 対象
- JRA10場・平地(芝・ダート)
- 期間
- 2016年〜2026年8月9日/492,290走
- 枠
- 1枠〜8枠(馬番ではなく枠番)
- 目次
- 枠番ごとの成績
- 芝とダートで正反対になる
- 内・中・外でまとめて見る
- 枠番ごとの複勝率
- 逃げ馬は内枠有利か
- レース前に分かる形で確かめる
- 内枠はハナを取りやすい
- ハナを取れたあとはどうか
- 東京は差し有利か
- 頭数が増えると枠は効くのか
- まとめ
枠番ごとの成績
| 枠 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 | 平均人気 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 50,607 | 7.0% | 21.0% | 71.9% | 71.6% | 7.8 |
| 2枠 | 54,506 | 6.9% | 21.1% | 75.0% | 72.8% | 7.9 |
| 3枠 | 57,774 | 6.9% | 21.1% | 70.2% | 73.5% | 7.8 |
| 4枠 | 60,349 | 7.1% | 21.6% | 67.4% | 71.5% | 7.8 |
| 5枠 | 63,084 | 7.3% | 21.8% | 75.0% | 73.9% | 7.7 |
| 6枠 | 65,181 | 7.5% | 22.2% | 75.0% | 73.6% | 7.7 |
| 7枠 | 69,584 | 7.2% | 21.7% | 71.6% | 73.5% | 7.7 |
| 8枠 | 71,205 | 7.5% | 21.8% | 73.5% | 72.2% | 7.7 |
複勝率は1枠21.0%から6枠22.2%までの間にすべて収まりました。勝率も6.9%から7.5%の範囲です。枠番だけを見ても、ほとんど何も分かりません。
芝とダートで正反対になる
内・中・外でまとめて見る
1枠から3枠を内枠、4枠と5枠を中枠、6枠から8枠を外枠としてまとめます。数字は複勝率です。
| 条件 | 内枠(1〜3枠) | 中枠(4〜5枠) | 外枠(6〜8枠) |
|---|---|---|---|
| 芝 短距離(計52,511走) | 20.5% | 20.3% | 20.6% |
| 芝 マイル(計73,275走) | 21.9% | 21.4% | 20.6% |
| 芝 中距離(計88,527走) | 23.7% | 24.1% | 22.5% |
| 芝 長距離(計25,394走) | 24.8% | 24.8% | 23.0% |
| ダート 短距離(計72,023走) | 19.2% | 19.9% | 21.8% |
| ダート マイル(計92,654走) | 19.2% | 20.5% | 21.7% |
| ダート 中距離(計85,047走) | 20.8% | 22.2% | 22.9% |
| ダート 長距離(計2,859走) | 21.7% | 22.3% | 26.1% |
※距離帯は、短距離=1300m以下、マイル=1301〜1700m、中距離=1701〜2100m、長距離=2101m以上としています。
芝とダートで正反対の結果になりました。
ダートは4つの距離すべてで内枠より外枠が複勝率が高いです。一方芝は短距離以外は内枠のほうが上です。
ダートでは砂をかぶらずに運べる外の枠が有利、とよく言われます。数字はその向きと一致しました。
枠番ごとの複勝率
まとめずに、枠番のまま並べます。
| 条件 | 1枠 | 2枠 | 3枠 | 4枠 | 5枠 | 6枠 | 7枠 | 8枠 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 芝 短距離(計52,511走) | 20.9% | 20.8% | 19.8% | 20.4% | 20.2% | 20.5% | 21.2% | 20.0% |
| 芝 マイル(計73,275走) | 22.2% | 21.6% | 21.9% | 21.5% | 21.3% | 21.4% | 20.2% | 20.4% |
| 芝 中距離(計88,527走) | 24.2% | 23.4% | 23.5% | 24.2% | 24.0% | 23.2% | 22.9% | 21.6% |
| 芝 長距離(計25,394走) | 24.4% | 25.9% | 24.1% | 25.1% | 24.5% | 22.7% | 22.6% | 23.6% |
| ダート 短距離(計72,023走) | 19.0% | 19.0% | 19.6% | 19.6% | 20.2% | 21.6% | 21.5% | 22.4% |
| ダート マイル(計92,654走) | 18.3% | 19.5% | 19.5% | 20.3% | 20.8% | 21.7% | 21.1% | 22.2% |
| ダート 中距離(計85,047走) | 20.4% | 20.9% | 21.1% | 21.9% | 22.5% | 23.3% | 22.5% | 22.8% |
| ダート 長距離(計2,859走) | 21.7% | 18.7% | 24.6% | 22.7% | 21.9% | 25.9% | 26.6% | 25.8% |
ダートのマイルは1枠18.3%に対し8枠22.2%。細かな上下はありますが、外に行くほど高くなります。ダートの短距離も1枠19.0%、8枠22.4%と同じ形です。「1枠は不利」がはっきり当てはまるのはダートでした。
芝は逆で、中距離は1枠24.2%に対して8枠21.6%。マイルも1枠22.2%、7枠20.2%です。芝では内の枠のほうが複勝率は高くなりました。芝の短距離だけは枠による並びがはっきりせず、どの枠も20%前後で横並びになっています。
逃げ馬は内枠有利か
「逃げ馬は内枠が有利」も定説のひとつです。内なら距離をロスせず、自分のペースに持ち込みやすいから、という理屈です。
ここで問題になるのが、どの馬が逃げるかはレースが終わるまで分からないことです。走ったあとの通過順で「逃げ馬」を選んでしまうと、買うときには使えない数字になります。そこで2段階に分けて確かめます。
レース前に分かる形で確かめる
まず、レース前に分かる情報だけを使います。前走でハナを切った馬を取り出して、今回の枠ごとに成績を並べました。これは出馬表を見た時点で誰でも分かる情報です。32,196走が対象になります。
※デビュー戦など前走のない56,544走はこの節から外しています。前走のある435,746走のうち、前走でハナを切っていたのが32,196走です。
| 枠 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 | 平均人気 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 3,224 | 9.9% | 25.6% | 86.6% | 68.1% | 5.9 |
| 2枠 | 3,466 | 9.5% | 26.9% | 57.8% | 75.9% | 6.1 |
| 3枠 | 3,773 | 9.7% | 25.4% | 67.1% | 69.1% | 6.1 |
| 4枠 | 3,965 | 9.6% | 27.1% | 66.8% | 76.1% | 6.1 |
| 5枠 | 4,183 | 10.1% | 27.8% | 72.8% | 74.1% | 6.1 |
| 6枠 | 4,304 | 10.2% | 26.1% | 75.9% | 71.9% | 6.2 |
| 7枠 | 4,681 | 10.4% | 27.2% | 77.0% | 78.0% | 6.2 |
| 8枠 | 4,600 | 11.0% | 26.3% | 84.9% | 70.4% | 6.2 |
複勝率は3枠の25.4%から5枠の27.8%まで。1枠は25.6%、8枠は26.3%で、内と外でほとんど変わりません。内枠が有利という形にはなりませんでした。
内枠はハナを取りやすい
ではなぜ定説になっているのか。同じ「前走でハナを切った馬」が、今回もハナを切れた割合を枠ごとに数えました。
| 枠 | 出走数 | 今回もハナを切れた割合 |
|---|---|---|
| 1枠 | 3,224 | 39.4% |
| 2枠 | 3,466 | 34.0% |
| 3枠 | 3,773 | 31.0% |
| 4枠 | 3,965 | 29.4% |
| 5枠 | 4,183 | 25.8% |
| 6枠 | 4,304 | 25.6% |
| 7枠 | 4,681 | 23.1% |
| 8枠 | 4,600 | 23.8% |
1枠なら39.4%が今回もハナを切れたのに対し、7枠では23.1%。内の枠に入った逃げ馬は、そのままハナを主張しやすい。定説が生まれた理由は、この数字にありそうです。
ハナを取れたあとはどうか
もうひとつ、今回実際にハナを切った馬だけを取り出して、枠ごとの成績を見ます。
| 枠 | 出走数 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 1枠 | 5,581 | 17.3% | 38.0% |
| 2枠 | 4,902 | 17.5% | 39.6% |
| 3枠 | 4,628 | 18.2% | 40.0% |
| 4枠 | 4,358 | 18.5% | 41.2% |
| 5枠 | 4,034 | 18.9% | 40.9% |
| 6枠 | 3,752 | 19.2% | 41.1% |
| 7枠 | 3,643 | 18.9% | 41.1% |
| 8枠 | 4,147 | 17.7% | 39.3% |
ハナを切れた馬の複勝率は1枠が38.0%でいちばん低く、4枠の41.2%がいちばん高い。内の枠から逃げた馬がもっとも低く、真ん中から外寄りの枠のほうが高くなっています。数字上は、内の枠から逃げた馬がいちばん残っていない、という形です。
まとめると、内枠の逃げ馬はハナを取りやすいが、取れたあとの成績はむしろ低い。2つが差し引きになって、前走で逃げた馬の成績は枠でほとんど変わらなくなっていました。定説は前半だけが正しく、後半は逆だった、ということになります。
東京は差し有利か
「東京は差しが決まる」もよく言われます。コースごとに脚質別の複勝率を出しました。脚質はレース中の通過順から決めています。
※脚質は、最初のコーナーを先頭で通過した馬を逃げ、最終コーナーの通過順が前から3分の1までを先行、3分の2までを差し、それより後ろを追込としています。
※通過順の記録がなく脚質を決められない4,165走はこの節から外しています。対象は芝235,542走・ダート252,583走です。
芝
| 場 | 逃げ | 先行 | 差し | 追込 |
|---|---|---|---|---|
| 阪神(計29,950走) | 39.8% | 31.8% | 24.1% | 11.1% |
| 東京(計36,638走) | 34.6% | 29.4% | 24.2% | 10.9% |
| 京都(計26,351走) | 36.0% | 33.1% | 23.9% | 10.4% |
| 新潟(計21,245走) | 35.2% | 28.3% | 21.0% | 9.9% |
| 中京(計23,111走) | 39.1% | 30.6% | 22.1% | 9.5% |
| 函館(計11,687走) | 43.1% | 38.5% | 22.3% | 7.3% |
| 札幌(計12,198走) | 38.6% | 40.3% | 23.0% | 6.1% |
| 中山(計31,007走) | 36.4% | 36.0% | 19.9% | 5.7% |
| 小倉(計24,845走) | 38.0% | 35.7% | 18.2% | 5.4% |
| 福島(計18,510走) | 37.8% | 36.1% | 19.0% | 4.9% |
おおむね定説どおりでした。芝の東京は差しが24.2%で、10場でいちばん高い数字です。逃げは34.6%でいちばん低くなりました。追込は10.9%で、阪神の11.1%に次ぐ2番目です。前が止まりやすく、後ろから届く。東京の芝はその形がいちばんはっきり出ているコースでした。
反対の端にあるのが福島で、追込は4.9%。先行は36.1%あります。同じ芝でも、コースが変われば必要な脚がまるで違います。
ダート
| 場 | 逃げ | 先行 | 差し | 追込 |
|---|---|---|---|---|
| 東京(計43,072走) | 35.9% | 32.6% | 17.3% | 7.8% |
| 中京(計28,824走) | 43.8% | 36.9% | 17.2% | 6.5% |
| 京都(計31,899走) | 43.7% | 38.5% | 17.2% | 6.1% |
| 阪神(計39,804走) | 38.9% | 39.6% | 17.8% | 5.7% |
| 新潟(計19,957走) | 44.7% | 41.4% | 14.5% | 4.5% |
| 中山(計43,711走) | 43.4% | 40.0% | 13.7% | 3.9% |
| 札幌(計8,532走) | 37.4% | 50.7% | 17.6% | 3.5% |
| 函館(計7,770走) | 55.4% | 52.2% | 16.6% | 3.1% |
| 福島(計14,554走) | 50.2% | 40.3% | 13.1% | 2.6% |
| 小倉(計14,460走) | 49.4% | 44.0% | 14.0% | 2.2% |
ダートの東京も追込が7.8%で10場のいちばん上、逃げが35.9%でいちばん下です。ただし差しは17.3%で、阪神の17.8%を下回ります。ダートの東京で目立つのは、差しが決まることよりも前が止まりやすいことのほうでした。
それでも、どのコースでも逃げと先行が上位に来る点は変わりません。東京が差し有利というのは、あくまで他のコースと比べたときの話で、東京でも前で運べる馬のほうが好走率は高い、という土台は動きません。
頭数が増えると枠は効くのか
枠の話は多頭数ほど効く、と言われます。頭数で割って、枠ごとの複勝率を出しました。
| 枠 | 10頭以下 | 11〜13頭 | 14〜16頭 | 17頭以上 |
|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 33.4% | 24.5% | 19.0% | 17.1% |
| 2枠 | 35.0% | 24.6% | 19.1% | 17.2% |
| 3枠 | 34.3% | 24.5% | 19.4% | 17.1% |
| 4枠 | 36.8% | 24.5% | 19.5% | 17.4% |
| 5枠 | 34.8% | 24.7% | 19.7% | 17.6% |
| 6枠 | 34.6% | 25.8% | 19.9% | 16.9% |
| 7枠 | 32.1% | 25.3% | 19.6% | 16.8% |
| 8枠 | 32.2% | 25.0% | 19.8% | 15.9% |
17頭以上のレースでは、1枠17.1%に対して8枠15.9%。いちばん沈むのは外枠でした。7枠も16.8%で、外の2つがそろって下に来ます。頭数が多いほど1枠が不利になる、という形にはなりませんでした。
まとめ
- 枠番別の複勝率はほとんど変わりません:8つの枠の複勝率は21.0%から22.2%の間に収まります。
- ダートは外枠のほうが好走率が高い:「1枠は不利」が当てはまるのはダートです。
- 芝は内枠のほうが好走率が高い:ダートとは逆向きです。
- 逃げ馬の内枠は「ハナを取りやすい」まで:前走で逃げた馬が今回もハナを切れた割合は1枠39.4%、7枠23.1%です。
- 東京は差しが利きます:芝の差しは東京が複勝率24.2%で10場のいちばん上、逃げは複勝率34.6%でいちばん下。これはダートでも同じです。
- 多頭数で沈むのは外枠:17頭以上では8枠が複勝率15.9%で最も低くなりました。
本記事の数字はJRA10場・平地(芝・ダート)の実測値です(2016年〜2026年8月9日、492,290走)。AI予想とは独立した過去傾向の分析で、的中を保証するものではありません。






