距離短縮は買いか|延長・短縮ローテの成績を実測

距離短縮は買いか|延長・短縮ローテの成績を実測

「距離短縮は買い」。前走より短い距離に出てきた馬は好走しやすいと言われます。
実測すると、複勝率は同じ距離が25.9%、短縮が23.8%。走る確率でいえば、短縮は同じ距離を上回りませんでした。ところが単勝回収率は400m以上の短縮が81.5%、同じ距離が72.8%です。
もうひとつ、「距離短縮の逃げ馬は買い」という説もあります。これも実測で確かめました。この記事では芝とダート、距離帯、クラス、前走の脚質までを順に見ていきます。

※過去のレース結果等のデータを独自の条件で集計・分析し、記事として編集しています。
出典:TARGET frontier JV

対象
JRA10場・平地(芝・ダート)
期間
2016年〜2026年8月9日/372,437走
距離差
前走との差で5段階
前走
中央の平地レースで、芝ダートが今回と同じ

この記事の「距離の増減」の決め方

距離差は、今回の距離から前走の距離を引いた値です。マイナスなら短縮、プラスなら延長。5段階に分けました。

前走との距離差中身出走数出現率
大きく短縮
(400m以上)
前走より400m以上短い22,2186.0%
短縮
(50〜350m)
前走より50〜350m短い70,72019.0%
同じ距離前走と同じ177,27447.6%
延長
(50〜350m)
前走より50〜350m長い77,47020.8%
大きく延長
(400m以上)
前走より400m以上長い24,7556.6%

短縮と延長を400mで割ったのは、1200mから1600m、1800mから1400mといった大きな乗り替えと、200m前後のわずかな増減とを分けて見たかったためです。

※前走が中央の平地レースだった行だけを対象にしています。前走が地方・海外・障害だった17,491走は、距離の物差しがそろわないため対象外です。
※前走と今回で芝ダートが替わった53,246走も対象外にしました。砂と芝では同じ200mの重みが違うためです。
※前走のある443,174走から上の2つを引いた372,437走が、この記事の母数です。下の表はこの372,437走をもれなく振り分けています。
※取消・除外となった馬は対象から除いています。
※クラスは 未勝利/1勝クラス/2勝クラス/3勝クラス/オープン特別・リステッド/重賞(G1・G2・G3)の6区分です。新馬戦は前走が無いため、この記事には出てきません。
※出走数10以下のマスは表に載せていません。数字が無いのではなく、信用できる数になっていない、という意味です。

距離の増減別の成績

増減別|芝とダート

最初に芝ダート合計、続けて芝とダートに分けた表を並べます。

増減別|芝ダート全体

前走との距離差出走数勝率複勝率単勝回収率平均人気
大きく短縮
(400m以上)
22,2186.0%18.2%81.5%8.7
短縮
(50〜350m)
70,7207.9%23.8%75.7%7.4
同じ距離177,2748.7%25.9%72.8%6.9
延長
(50〜350m)
77,4707.1%21.5%73.6%7.7
大きく延長
(400m以上)
24,7554.8%15.3%66.1%9.0

増減別|芝

前走との距離差出走数勝率複勝率単勝回収率平均人気
大きく短縮
(400m以上)
13,0236.7%20.0%79.4%8.4
短縮
(50〜350m)
32,2558.4%25.0%73.5%7.1
同じ距離84,4938.8%26.0%74.4%6.8
延長
(50〜350m)
36,3367.4%22.7%72.1%7.5
大きく延長
(400m以上)
15,0675.7%17.2%66.3%8.7

増減別|ダート

前走との距離差出走数勝率複勝率単勝回収率平均人気
大きく短縮
(400m以上)
9,1955.0%15.6%84.6%9.3
短縮
(50〜350m)
38,4657.5%22.8%77.5%7.6
同じ距離92,7818.7%25.8%71.4%6.9
延長
(50〜350m)
41,1346.8%20.4%74.9%7.9
大きく延長
(400m以上)
9,6883.6%12.4%65.9%9.6

まず複勝率です。芝は同じ距離の26.0%が最上位で、短縮25.0%、延長22.7%と両側に下がります。ダートも同じ形で、同じ距離25.8%、短縮22.8%、延長20.4%。走る確率でいえば、いちばん堅いのは前走と同じ距離に使われた馬です。

ところが単勝回収率で並べ直すと、順番が入れ替わります。芝は400m以上の短縮が79.4%で最上位、同じ距離は74.4%。ダートはその差がもっとはっきりして、400m以上の短縮84.6%に対して同じ距離71.4%です。芝でもダートでも、大幅な短縮の回収率は同じ距離を上回りました。
「距離短縮は買い」というより「距離短縮は(市場が過小評価しやすいので)買い」という意味になります。

増減別|距離帯

同じことを、今回の距離帯ごとに分けて見ます。1300m以下を短距離、1301〜1700mをマイル、1701〜2100mを中距離、2101m以上を長距離としています。数字は複勝率で、かっこ内はその区分の合計出走数です。

複勝率|距離差 × 距離帯(芝)

前走との距離差短距離マイル中距離長距離
大きく短縮(400m以上)(計13,023走)16.6%18.6%23.7%22.2%
短縮(50〜350m)(計32,255走)23.4%25.3%25.3%26.7%
同じ距離(計84,493走)22.5%27.0%27.7%29.2%
延長(50〜350m)(計36,336走)15.2%18.3%24.3%27.8%
大きく延長(400m以上)(計15,067走)8.3%14.2%22.0%

単勝回収率|距離差 × 距離帯(芝)

前走との距離差短距離マイル中距離長距離
大きく短縮
(400m以上)
84.6%69.1%83.7%81.4%
短縮
(50〜350m)
76.4%80.8%64.6%71.3%
同じ距離73.6%71.2%78.8%67.5%
延長
(50〜350m)
80.1%71.1%70.5%76.3%
大きく延長
(400m以上)
50.7%64.9%71.5%

芝でいちばん使えそうなデータが短距離です。400m以上短縮して短距離を走った場合、複勝率16.6%と同じ距離の22.5%を下回るのに、単勝回収率は84.6%で同じ距離の73.6%を上回ります。

複勝率|距離差 × 距離帯(ダート)

前走との距離差短距離マイル中距離長距離
大きく短縮(400m以上)(計9,195走)14.6%16.2%18.8%
短縮(50〜350m)(計38,465走)22.5%22.9%23.3%24.6%
同じ距離(計92,781走)24.4%26.5%26.3%27.0%
延長(50〜350m)(計41,134走)19.5%17.7%22.7%29.6%
大きく延長(400m以上)(計9,688走)9.7%11.6%22.9%

単勝回収率|距離差 × 距離帯(ダート)

前走との距離差短距離マイル中距離長距離
大きく短縮
(400m以上)
94.2%78.5%62.1%
短縮
(50〜350m)
78.0%74.9%82.0%157.2%
同じ距離68.2%70.8%74.4%78.3%
延長
(50〜350m)
71.0%72.2%78.7%64.4%
大きく延長
(400m以上)
72.9%64.4%57.7%

ダートの短距離も同じで、400m以上短縮して短距離を走った場合複勝率14.6%、単勝回収率94.2%。好走率は下だが、回収率は上という結果になります。

※ダートの長距離(2101m以上)と芝の短距離への大幅延長は、対象レースがごく少ない区分です。表に出ている数値も参考程度にご覧ください。

増減別|クラス

複勝率|距離差 × クラス

前走との距離差未勝利1勝クラス2勝クラス3勝クラスオープン特別・リステッド重賞
大きく短縮(400m以上)(計22,218走)15.7%19.4%20.0%19.7%19.9%23.3%
短縮(50〜350m)(計70,720走)23.7%24.5%23.7%23.0%23.4%21.8%
同じ距離(計177,274走)27.1%26.2%25.1%23.7%24.6%21.5%
延長(50〜350m)(計77,470走)21.5%22.3%21.7%19.6%22.8%17.9%
大きく延長(400m以上)(計24,755走)12.7%16.8%18.9%18.6%18.5%18.8%

単勝回収率|距離差 × クラス

前走との距離差未勝利1勝クラス2勝クラス3勝クラスオープン特別・リステッド重賞
大きく短縮
(400m以上)
80.3%73.4%104.4%119.0%68.4%62.2%
短縮
(50〜350m)
70.2%76.2%73.3%100.7%84.0%67.3%
同じ距離71.7%73.8%73.0%74.8%69.4%74.3%
延長
(50〜350m)
72.9%75.0%74.7%72.1%73.0%69.1%
大きく延長
(400m以上)
62.3%64.0%79.6%85.8%45.6%77.4%

複勝率の表では、未勝利戦の400m以上の短縮が15.7%と同じ距離の27.1%から大きく離れます。重賞は逆で、400m以上の短縮が23.3%で同じ距離の21.5%を上回りました。

距離短縮の逃げ馬は買いか

「距離短縮の逃げ馬は買い」。短くなったぶんスピードで押し切れる、という説です。前走の脚質と今回の距離差を掛け合わせて確かめました。

複勝率|距離差 × 前走の脚質

前走との距離差逃げ先行差し追込
大きく短縮(400m以上)(計22,152走)20.2%24.1%18.3%10.6%
短縮(50〜350m)(計70,578走)29.5%29.7%22.6%14.6%
同じ距離(計175,906走)30.3%32.7%25.3%16.5%
延長(50〜350m)(計76,055走)23.6%28.4%22.6%14.6%
大きく延長(400m以上)(計24,445走)18.8%22.3%18.1%10.9%

前走で逃げた馬は、距離を変えるほど複勝率が下がっています。これは全体の実測と同じです。

単勝回収率|距離差 × 前走の脚質

前走との距離差逃げ先行差し追込
大きく短縮
(400m以上)
73.8%84.5%97.3%64.6%
短縮
(50〜350m)
80.9%78.4%75.4%69.9%
同じ距離71.4%73.9%73.8%70.8%
延長
(50〜350m)
67.5%81.9%72.8%68.2%
大きく延長
(400m以上)
107.6%73.2%63.1%64.6%

※前走の通過順が記録されていない3,301走は、脚質を決められないためこの2つの表から外れています。残りの369,136走が対象です。

回収率でも同じです。「距離短縮の逃げ馬」は、2016年以降の実測では特に買い条件にはなりませんでした。
むしろ、前走で差した馬の距離短縮の方が単勝回収率は高いのでねらい目、ということになります。

同じ人気帯の中で見る

ここまでの回収率の差は、人気の差が生んでいるだけかもしれません。そこで同じ人気帯の馬どうしで並べ直します。

複勝率|距離差 × 人気帯

前走との距離差1番人気2〜3番人気4〜6番人気7〜9番人気10番人気以下
大きく短縮(400m以上)(計22,218走)66.1%48.1%27.9%13.1%4.5%
短縮(50〜350m)(計70,720走)64.5%47.9%28.3%14.1%5.3%
同じ距離(計177,274走)64.5%47.3%27.9%14.5%5.2%
延長(50〜350m)(計77,470走)65.6%46.3%27.3%13.3%4.6%
大きく延長(400m以上)(計24,755走)67.2%47.6%26.6%10.9%3.3%

1番人気は400m以上の短縮で66.1%、同じ距離で64.5%。人気馬は距離短縮でも複勝率を落としません。

単勝回収率|距離差 × 人気帯

前走との距離差1番人気2〜3番人気4〜6番人気7〜9番人気10番人気以下
大きく短縮
(400m以上)
83.4%87.1%87.4%80.9%77.8%
短縮
(50〜350m)
81.0%81.0%76.6%75.2%71.5%
同じ距離76.7%77.2%78.5%73.9%63.3%
延長
(50〜350m)
80.3%79.2%77.4%75.7%66.3%
大きく延長
(400m以上)
87.8%85.7%75.7%70.3%55.1%

回収率は、前節と同じく、同じ距離よりも400m以上短縮した方が上がる、という結果になりました。

回収率が100%を超えたセルを確かめる

ここまでの表で、単勝回収率が100%を超えたマスは5つありました。順に当てていきます。まず期間を前半と後半に割って、どちらでも100%を超えるか。次に、最高配当1件を除外しても残るか。最後に、同じ出走データから重複を許して引き直す計算を2万回くり返し、回収率がどのあたりに収まりうるかの幅を出します。この幅が100%をまたぐなら、安定して100%を超える条件とは判断できません。

100%を超えたセル出走数単勝回収率前半の期間後半の期間最高配当1件を除外高配当上位5件を除外ぶれ幅
短縮
(50〜350m)/3勝クラス
5,819100.7%121.3%
(2016〜2020年)
85.8%
(2021〜2026年)
97.2%87.5%83.6〜120.1%
大きく延長
(400m以上)/逃げ
728107.6%66.0%
(2016〜2020年)
148.5%
(2021〜2026年)
84.9%53.3%57.6〜174.4%
大きく短縮
(400m以上)/3勝クラス
1,273119.0%69.5%
(2016〜2020年)
153.0%
(2021〜2026年)
109.0%80.3%80.8〜163.6%
大きく短縮
(400m以上)/2勝クラス
2,524104.4%104.8%
(2016〜2020年)
104.0%
(2021〜2026年)
92.5%68.1%69.5〜147.6%
ダート長距離/短縮
(50〜350m)
118157.2%166.9%
(2016〜2020年)
149.5%
(2021〜2026年)
127.5%34.2%58.6〜281.8%

いずれも高配当が回収率を押し上げた形で、高配当5件を除外すると、100%を下回る結果となりました。この条件だからベタ買いできる、とまでは言いづらいです。

※「ぶれ幅」は、同じ出走データから重複を許して引き直す計算を2万回くり返し、出てきた回収率の真ん中95%が収まった範囲です。統計ではブートストラップによる95%区間と呼びます。
※出走数が2万を超えるセルは、幅が十分に狭いため計算回数を2千回にしています。
※後半の期間は2026年8月9日までの集計です。

まとめ

  • 好走率がいちばん高いのは同じ距離:複勝率は芝26.0%、ダート25.8%。短縮も延長も、ここより上には出ませんでした。
  • いちばん下がるのは大幅な延長:400m以上の延長した場合の複勝率は、芝17.2%、ダート12.4%。距離延長は明確に評価を下げる必要があります。
  • 単勝回収率は短縮の側が上:400m以上短縮した馬の単勝回収率はダートで84.6%、芝で79.4%。「距離短縮は(市場が過小評価しやすいので)買い」という意味になります。
  • ダートで短距離に大幅距離短縮した馬は狙い目:単勝回収率94.2%。複勝率は14.6%なので、これは結構狙い目です。
  • 「距離短縮の逃げ馬」は支持されず:前走で逃げた馬の400m以上の短縮は複勝率20.2%。同じ距離を走った場合は複勝率30.3%なので、これは支持できません。
  • 大幅短縮でいちばん回収率が高いのは前走差し馬:97.3%。前走で先行した馬は84.5%です。

距離の増減は、好走率と回収率がはっきり正反対になる珍しいファクターです。走る確率だけを見るなら、同じ距離を使われている馬がいちばん堅い。ここは印を組み立てるときにそのまま使えます。
そのうえで、大幅短縮の馬は複勝率が下がる一方で単勝回収率は上という形が、期間を分けても人気帯をそろえても残りました。「距離短縮は(市場が過小評価しやすいので)買い」という結論です。

本記事の数字はJRA10場・平地(芝・ダート)の実測値です(2016年〜2026年8月9日、372,437走)。AI予想とは独立した過去傾向の分析で、的中を保証するものではありません。